Blog ブログ

衣類用防虫剤 種類と用途

皆さんこんにちは。クリーニングのハミングです。

衣類を虫から守ってくれる防虫剤。どのような種類があって、どのような違いがあるのかご存じですか?

衣類用害虫に効果のある防虫剤は、防虫成分の違いによって大きく4つに分けられます。

  1. ピレスロイド系(エムペントリン製剤)・・・無臭
  2. パラジクロロベンゼン製剤・・・有臭
  3. しょうのう製剤・・・有臭
  4. ナフタリン製剤・・・有臭

それでは、それぞれの特徴について詳しく見ていきましょう。

①ピレスロイド系(エムペントリン製剤)

除虫菊から抽出された殺虫成分の効能を化学的に強めたもの(化合物)の総称。
常温でも揮発して周囲に広がって、害虫を駆除します。
また安全性はとても高く、虫には即効性を示しますが人畜には低毒性で、アレルギー毒性も無いとされています。
注意点としては、銅や真鍮を含む金属のついた服(ボタンなど)には使えない点です。殺虫成分が化学反応を起こし、金属が変色する恐れがあります。
また、防虫剤の中で唯一、他の薬剤と併用することができます。

まとめると
☆無臭
☆常温揮発で隅々まで効果が届く
☆安全性が高い
☆他種薬剤と併用してもOK
☆効果が高い
☆銅や真鍮と反応して変性させてしまう可能性がある
☆日常的に着る服に向いている

②パラジクロロベンゼン製剤

4つの防虫剤成分のなかで「最も臭いが強い」のがパラジクロロベンゼン製剤です。
害虫に対して即効性がありますが、効き目が早い分効果がなくなるのも早くなります。
融点が53℃ととても低いので、夏場の保存場所によっては溶けてしまう可能性があるのが注意点。
また塩化ビニール製品やスチロール製品(装飾ボタン、帯止め、スパンコール、ビーズ類など)、金糸、銀糸、ラメ製品、人形類、合成皮革などへの使用も出来ません。

まとめると
☆臭いが強い
☆即効性があるが、効果持続時間が短い
☆融点が低いので保管場所によっては溶けてしまう可能性がある
☆塩ビ、スチロール製品などを変性させてしまう可能性がある
☆高濃度になると健康被害の危険性がある
☆ピレスロイド系の防虫剤以外の兼用不可
☆セーター等害虫被害の多い場所に向いている

③しょうのう製剤

最も古くから使われている「しょうのう(樟脳)」は、クスノキ由来の防虫成分です。
植物由来のハッカのような匂いが特徴で、着物の防虫剤として使われることが多いです。
天然由来成分のため安全と思いがちですが、しょうのう自体は有毒ですので扱いには注意が必要です。

まとめると
☆植物由来のハッカのようなスッとした香りがある
☆着物の防虫剤に多い
☆飲み込んだ場合は有毒なので病院へ
☆ピレスロイド系の防虫剤以外の兼用不可

➃ナフタリン製剤

コールタールの蒸留によって作り出された成分で、強い臭いがあります。
防虫効果はさほど強くはありませんが、ゆっくり効果が持続するので、出し入れの少ない衣類などに向いています。
また、金属や金箔、銀糸など人形によく使われる素材へのダメージが少ないので、五月人形やお雛様の防虫用などに使われることが多いです。
しかし、毒性があるので、直接触れたり、誤飲には注意が必要です。

まとめると
☆臭いが強い
☆即効性は無いが、効果が長く続く
☆直接肌に触れると炎症を起こす
☆金属や金箔などへの影響がないので、人形の防虫剤としてよく使われる
☆ピレスロイド系の防虫剤以外の兼用不可

まとめ

今回は衣類の防虫剤として使われている成分別に4種類ご紹介いたしました。
それぞれの特徴を把握して、用途に合った防虫剤を選び、大切な衣類を長く楽しめるようにしましょう。